シャドーイングのために教科書の難易度を下げました

東京都立東大和南高等学校

授業の質にとことんこだわる都立東大和南高等学校。英語教育では、2018年度から青森県立田名部高等学校が実践する「TANABUメソッド」を高校1~2年生対象に導入。英語の音やスピードに慣れ、四技能をバランス良く向上する英語教育に取り組んでいます。コロナ禍での音読対策のみならず、大学入試共通テストのリスニング対策としてのリピートークへの期待、さらにはシャドーイングを通した英語力向上への情熱を氏原先生に伺いました。

導入前の課題
  • 飛沫防止の観点から、授業で大きな声での音読や、活発なペアワークができなくなってしまった
導入の効果
  • 「密」を避けられる上に録音も可能。さらに自分の発音の一致率が分かり生徒が音読を続ける励みにもなった

無料トライアル実施中

対象: 高校2年生
教材: LANDMARK

音読を基軸としたTANABUメソッドを採用

本校で取り組んでいるTANABUメソッドは、音読を通じて文中の表現を自分の中に取り入れるインプットを繰り返し、さらにその内容をライティング・スピーキングでアウトプットする再生活動や要約活動で英語力を定着させる学習方法です。

TANABUメソッドに基づき、これまでの授業では必ず教科書を十分に音読させ、1年生は本文の再生活動を、2年生は本文の要約をさせていました。要約活動は、単純に本文の内容を再現するのではなく、要約に入れるべきポイントを生徒が考え、選択した上で、ライティング・スピーキングに取り組みます。1、2年生の2年間でしっかり土台を作り、3年生は受験に向けた教材で磨きをかけていきます。

授業内での音読は生徒同士のペアワークを基本に、それぞれが評価し合いながら、いい意味で緩く和やかな雰囲気で進めていました。長いときは40分程度、相手を変えながらひたすらいろいろな音読メニューをこなさせていました。

しかし、それもコロナで一変しました。2020年3月以降、飛沫防止の観点から、授業で大きな声での音読や、活発なペアワークができなくなってしまったのです。現在の授業内での音読は5分程度です。しかも小さな声で前を向き、一人でボソボソとやるしかなくなりました。生徒にはコロナ禍の影響で多くのことを我慢してもらっています。例えば、昼食は自分の席から動かず、無言で食べるように指導せざるを得ません。それなのにマスクを着用しているとはいえ、授業ではこれまで通りの音読やペアワークを実施するとなれば、「都合のいいときだけ…」と生徒に不満がたまってしまいます。

しかし、音読は本校の教育方針においても、そして何より英語力を向上させるためにもとても重要です。対策を検討し続けていたときに出会ったのがリピートークでした。リピートークであれば家庭での音読になるので、「密」を避けられる上に録音もできます。さらに自分の発音の一致率が分かれば、生徒が音読を続ける励みにもなります。音読を授業で実施しない分をリピートークが肩代わりするという位置付けで導入を決めました。


ピンチをシャドーイングのチャンスに

今は、単なるコロナ対策にとどまらない期待をリピートークにしています。私自身の経験から、録音して自分の発音を聞くのが音読には一番の刺激だと考えています。録音された自分の発音を耳にするのは、なかなか精神的に厳しいですよね。自分では「きれいに発音できているだろうな」と思っていても、実際に聞いてみると「全然ダメじゃん」と落ち込むこともあります。しかし自分の英語を目の当たりにするからこそ、「もう少しそれらしく聞こえるようになりたい」と必死になりますし、録音を聞けば上達にも気付けます。 

さらに音読にとどまらず、録音してのシャドーイングは生徒に体験させたいものでした。生徒が耳から入ってくる音にそれぞれのペースで集中し、自分の声を録音し、聞き直す。シャドーイングは音読よりもやりがいがありますし、作文力もリスニング力も付きます。発音も良くなりますし、何よりもネイティブのスピードに慣れることができるんです。このシャドーイングの楽しさや充実感を生徒には絶対に味わってもらいたいと思い続けてきました

今回リピートークをご紹介いただき、サンプルメニューの中にシャドーイングを発見したときは「これだ!」と興奮しました。長年、やりたくてやりたくて仕方のなかったものが目の前に現れたのです。既に学校ではスマホで操作できるオンラインシステムを導入しています。スマホアプリのリピートークであれば、生徒たちは違和感もなく混乱せずに利用できると思いました。

初年度の2020年度は音読からスタートさせました。本音を言えば、導入の一発目からシャドーイングをやらせたかったのですが、音読と比べるとどうしてもハードルが高くなってしまいます。まずは生徒にリピートークでの音読に慣れてもらい、いよいよ来年度は、シャドーイングがしやすいよう、現在よりも難易度を下げた教科書を採用するなど、徹底的に取り組める体制を整えました。 

大学入試共通テストのリスニングは、内容の難易度だけならば高校1年の教科書くらいだと考えています。ネイティブのスピードと発音でどんどん先に進んでしまうから訳が分からなくなるだけです。その点、シャドーイングへの取り組みは、ネイティブのスピードを知り、自分の発音と比較し、改善への足掛かりとなります。リピートークを共通テストのリスニング対策と位置付け、しっかり取り組めば、リスニングに関しては十分に対応できると考えています。 


スピード・音・数をこなす

これまで私の授業では「スピード・音・数をこなす」を大切にしてきました。

例えば、「書く」は時間をかけられる行動です。表現がうまくできないときに「う~ん」とうなって言葉を絞り出す時間が取れます。逆を言えば、「数をこなす」「テンポ良く先に進む」のが難しくなります。一方、会話ではうなっていたらコミュニケーションは成立しませんし、口を動かす学習であれば、どんどん先に進むことができます。これまでも、文法問題の仕上げの段階では、書かずにペアワークでスピードを出しながら量をこなさせる授業を時間が取れる時はしてきました。

コロナ禍でこれまで通りの授業内でのペアワークなどは難しくなりました。ですが、授業で大切にしたい軸はぶらさずに、生徒にはスピード感のある学びにどんどん取り組ませたいと考えています。リピートークはまだ始めたばかりなので生徒の変化は分かりません。生徒の取り組み方や学習量もそれぞれだと思います。英語が好きで、もっとたくさん取り組みたいと思っている生徒でも、英語以外の教科もありますし、部活で疲れて思うように学習が進まないこともあります。それは仕方のないことです。

しかし、今後、いっそう音読やシャドーイングを学習に取り入れるなど工夫し、「スピード・音・数をこなす」時間が増えれば生徒の英語の力はもっと伸びていくだろうと思います。そして、現在、音読やシャドーイングに一生懸命に取り組んでいる生徒に変化が現れれば、他の生徒にとってはこれ以上ない刺激になるものと期待しています。

無料トライアル実施中